「じゃーなー!」

「また来年!」

「バイバイ」

「気を付けて帰れよ」

 

今日は黒崎君の家でクリスマスパーティーをしました。

みんなでゲームをしたり、ケーキを食べたり、プレゼント交換をしたりしました。

 

いす取りゲームで浅野君と黒崎君のお父さんが熾烈な戦いを繰り広げて、その間にカリンちゃんが席を取ってしまったり、連想ゲームで意外にも佐渡君が10問連続正解したりと、とっても楽しいことがたくさん起きました。

ケーキは、あたしとたつきちゃんが作ったものと、ユズちゃんが作ったものと、石田君が作ったもので、なんと3つもあって、みんなで苦労して食べました。ユズちゃんのも石田君のもとってもおいしかったなぁ。2人とも器用でビックリ。

プレゼント交換であたしは黒崎君の用意したマフラーのプレゼントを貰いました。ラッキー。

あたしの持ってきた『簡単落語家セット』は朽木さんが受け取ったみたいで、とても喜んでもらえました。

 

――楽しい事はあっという間に過ぎてしまうもので、お開きの時間になりました。

その時にたつきちゃんが言ったのです。

「一護ォ、あんた織姫のことキチンと家まで送りなさい!」

あたしはいいって言ったんだけど、

「危なっかしいし、外もすぐ暗くなるから送ってく」

と黒崎君が言ったので、ご好意に甘えることにしました。

 

そして、まさに今、あたしは黒崎君と家に帰る所なのです。

 

 

空がきれい

 

 

別れの挨拶をして、みんなはそれぞれの家へ帰っていった。

「よし、行こうぜ!」

「え?あ、うん!」

 

黒崎君と並んで歩く道は、来た時とは別の道に見えて

 

「それで、ケイゴがよ・・・・・・」

「あはははは!浅野君らしいね」

 

何気ない話さえ、とても印象的で

 

「そういえば、井上はプレゼントなんだったんだ?」

「え?」

「プレゼント交換のヤツだよ」

「ああ!ありがたく、黒崎君のプレゼントを頂きました」

立ち止まってぺこりと一礼。

「お、オレの?!」

「うん!白いマフラー。」

 

言葉にならないほど嬉しかったのはヒミツの話

 

「黒崎君は?なに貰ったの?」

井上にそう言われて、オレはポケットから小さい箱を取り出した。

「水色から、らしいんだけど実はまだ見てねぇ。」

「そうなの?じゃあ、今見ちゃえば?」

「んじゃ、そうするか。」

包みを開けてソコにあったのは・・・。

「「オルゴール?」」

四角い形のシンプルなそれは、間違いなくオルゴール。

「へー、オルゴールねぇ」

何となく納得出来るような出来ないような・・・。

「曲はなんなの?」

「聞いてみるか」

カリカリとゼンマイを回して、流れてきた曲は・・・。

「『空がきれい』だ!」

「井上、知ってるのか?」

「うん。黒崎君は知らない?」

「いや、この間ユズが聞いてた・・・様な気がする」

「そっか」

そう言うと、井上はその唄を口ずさみ始めた。

 

あふれ出すその笑顔が 僕の事惑わせる

忘れかけてたその気持ち 白い息の中で

 

ナチュラルなその笑顔が 僕の事惑わせる

手袋してドアを開ける ふわりとした香り

 

柔らかい声が、冷たい空気に乗って流れて行く。

「・・・・・・」

「?どうしたの?黒崎君」

「え?ああ、別に!」

どうやら井上の唄に聞き惚れていたらしい。

 

そんなこと、恥ずかしくて口には出せないだろうけど

 

「あ!ねえ、黒崎君!見て見て!」

井上は何かを指差して言った。

「きれいだねぇ・・・」

指差した先には、夕焼けに染まる空があった。

「きれいだな・・・・」

住宅地の上に広がった、水色とオレンジのコントラストがなんとも言えない風景を作り出す。

「唄といっしょだねぇ」

「ああ」

 

目を閉じてゆっくり開ける 今 空がきれいです

 

「歌詞にある空もこんな感じなのかな?」

「多分、そうなんじゃねぇのかな」

 

空だけじゃなくて、オレの気持ちも

 

何となく、照れくさくなって歩き出す。

「・・・あんまり見とれてると、日が暮れちまうぞ!」

後ろを向いて井上を呼ぶ。

「うん、帰ろ!・・・あ、帰るのはあたしだけか。」

えへへ。と、いつもの笑い方をして、オレに駆け寄ってくる。

 

その姿を見て、どこか和んでるオレがいて

 

「マフラー、しねえのか?」

「う、うん。なんか勿体無いかなぁって・・・。」

「そうか、汚れちまうよな。男にいくか女に行くか判んねーから無難なトコにしといたんだけど。白じゃない方がよかったかな。」

「あ、ううん!そういう意味じゃなくて・・・・・」

「じゃあ、どんな意味なんだ?」

「えーっと・・・・・/////」

 

同じ時間の中で幾つものかたちをこなしてきた

僕は感じるもの全てを組み立てるように積み上げて当てはめている

 

夢中で話していたら、いつの間にか家についていて、――ちょっと名残惜しくて

「もう少しお話したかったなぁ」

って言ったら、

「話ぐらいならいつでもしてやるよ」

と、黒崎君が言ってくれました。

その答えを聞いて、

幸せだなぁって思っていいですか?

井上を家まで送って、帰るときに井上が、

「ありがと、黒崎君!」

と言って微笑んだ。

その顔を見て、

幸せだなぁと思っていいですか?

空は今、丁度日が沈む所で、

水色とオレンジのグラデーションがなんとも言えない感じで、

さっきと違って1人で空を見ているけれど、

 

ああ、今 空がきれいです

 

 

 

 

 

〜〜あとがき〜〜

題名等はRAG FAIRの歌から頂きました。

クリスマスである必要があるのか無いのか・・・。

 

プレゼント交換を言い出したのはケイゴです。

「1人3000円までで!」

とか言って。

 

一護はこの後しばらくルキアの落語に無理矢理つき合わされます。

で、偶に織姫にも聞いてもらって、彼女にアドバイスしてもらったりするのです(ドリーム

 

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